1歳児は赤ちゃんらしさが残りなんとも可愛い時期ですが、2歳になると運動能力が発達し、できることがぐんと増えてきます。また理解力が高まり、言葉も出始め一生懸命にお話してくれる姿はとても可愛らしいですね。一方で自我が育ち、自己主張が強くなりいわゆる「イヤイヤ期」が始まる年齢です。
本記事では2歳児の発達を【微細運動】【粗大運動】【言語・認知】【自己形成・社会性】の項目ごとにまとめ、さらにイヤイヤ期の接し方のポイントなどを解説していきたいと思います。
2歳〜2歳6ヶ月
微細運動
・指先を使うことが巧みになってくる
・手首を回転させねじることができる
・積み木を高く積むことができる
・出し入れを楽しむ(型はめ、型落とし、積み木を箱に詰める)
・玉差しやペグ差し、ねじ回し
・シール張りやなぐり描き
・洗濯ばさみ、スナップボタンの付けはずし
・粘土遊びなどの感触遊び
・積み木、ブロック、重ねコップ
・玩具は一人ひとりに充分用意できるようにする。(貸し借りや順番で使うことを強要しない)
・発達に応じて難易度を変えていけるように一つの遊びでも大小様々に用意しておく
粗大運動
・後ずさりをする
・ボールを蹴ることができるようになる
・その場で両足でジャンプができる
・転ばずに走る
・ボールを上手投げで投げる
・後ずさりをする
・ボール遊び(蹴る、投げる、転がす、追いかける)
・追いかけっこ
・線に沿って走る
・影踏み、起伏のある道を歩く
・鉄棒ぶら下がり、滑り台
・走りがしっかりしてくる時期なので、直進だけではなく物を避けたりものの前で止まるなどのコントロール力がつくように遊びの工夫をする
・体をたくさん使って楽しめるようになるが、無理をして危ない行動をすることもあるので必ず子どもの遊びに目を向けていく
言語・認知
・二語文を話す
・自分の要求を言葉で表す
・形の区別がつき始める
・言葉遊び・わらべうた遊び
・絵カードや絵本を見て楽しむ
・見立て遊びをする
・構成遊びをする(洗濯ばさみ、マグネット○△⬜︎などを用意する)
・言い間違いなどは指摘せず、話したい気持ちを充分に受け止める
・ゆったりとした気持ちで子どもの発語を待ち、大人が先回りして話さないように気をつける
・構成遊びでは子ども自身のイメージを大切にし肯定的に遊びを見守る
自己形成・社会性
・好きな物や人への執着が強くなる
・取り合いやトラブルが増える
・再現遊びをする
・ごっこ遊びや見立て遊び
・簡単なルールのある遊び
・取り合いやトラブルが増えるので仲立ちしていく
・ごっこ遊びや見立て遊びが盛んになってくるので、何にでも見立てられるような玩具を用意する(お手玉、チェーンリング、フエルト玩具など)
・見立て遊びを通して人と関わる楽しさを感じられるように温かいやり取りをする
2歳6ヶ月〜3歳
微細運動
・蓋を回して開け閉めする
・ボタンをかけ、外す
・はさみで1回切りができる
・指で2を作る(人差し指と中指を立てる)
・指先を使って丸たりちぎったりする力がついてくる
・出し入れを楽しむ(型はめ、型落とし、積み木を箱に詰める)
・指先を使った遊び(シール貼り、ボタン、紐通し、ビーズ通し)
・構成遊び(洗濯ばさみ、マグネット○△⬜︎などを用意する)
・新聞紙遊び(ちぎる、丸める)
・粘土遊び(ちぎる、丸める)
・積み木、ブロック
・指先を使う遊びは構成遊びや再現遊びにも使えるものが良い
・洗濯ばさみは箱やタッパーなどのふちに止めたり、段ボールにはさんだりして構成遊びが広がるように工夫する。
粗大運動
・少し高いところから飛び降りることを楽しむ
・両足を揃えて前に向かって跳ぶ
・三輪車をこいで進む
・低めの巧技台やコンテナなどから飛び降りて楽しむ
・鉄棒にぶら下がる、巧技台へよじ登る
・コンテナや箱を押しながらぶつからないように進む
・階段などの上り下りを楽しむ
・ボールやフープを持ちながら歩く、転がす、つかまえる
・フープやひもなどを使って前に跳ぶ
・追いかけっこ、線の上を意識して走る
・三輪車をこいで進み楽しむ
・飛び降りる高さは20センチほどにし、発達に合わない無理な動きは体に負担がかかるため個人の力量を見ながら気を付けて見ていく
・保育士も遊びに加わりながら様々な動きが獲得できるようにしていく
言語・認知
・盛んに質問をする
・言葉を用いて大人とコミュニケーションをとる
・見立て遊びが盛んになる
・多いー少ない 大きいー小さいなど反対概念を獲得してくる
・言葉遊びやわらべうた遊びを楽しむ
・絵カードや絵本を見る
・見立て遊びや模倣遊び、ごっこ遊びをする
・構成遊びをする
・再現遊びが楽しめるような玩具や環境構成を工夫していく
・質問が多くなる時期だが対話を楽しむきっかけとして質問していることも多いので会話そのものを楽しめるようにする
・言い間違いなどは指摘せず、話したい気持ちを充分に受け止めていく
自己形成・社会性
・「自分で」と自己主張が強くなってくる
・「自分で」という反面うまくできずにやってもらいたがる
・順番が分かり待てるようになってくる
・並行遊びが増えてくる
・他児の遊びや行動に興味を持ったり誘ったりする
・再現遊びや見立て遊び、ごっこあそび
・簡単なルールのある遊び(だるまさんがころんだ、しっぽとり)
・気持ちのぶつかり合いを経験しながらお互いの気持ちに気付き、自己コントロールする力が育つようにする
・大人が一方的に解決するのではなく、お互いの気持ちを充分受け止めた上で一緒に解決策を考えていけるようにする
・ルールのある遊びは、遊びを通して楽しみながら理解に繋げるようにする
イヤイヤ期への接し方のポイント
2歳児は自己主張が出てきて、その対応に頭を悩ませる場面も少なくありません。
「いや!」「自分で!」という反面うまくできなくで癇癪を起こす子もいます。子どもが自己主張ができるようになったのは成長の一つです。困ることもありますが、まずはその成長を喜びましょう。
保育士はゆとりを持ち子どもの気持ちを受け止め、寄り添っていきたいですね。対応策として次の点を意識してみて下さい。
・子どもの気持ちを受け止める
・前もって見通しの持てる声かけをする
・選択肢をいくつか用意し提案してみる
・その子の対応を他の保育士にお願いする
子どもにも思いがありますから、大人の都合で子どもを動かすのは好ましくありません。一旦子どもの気持ちを受け止めたり、「こうだったの?」と子どもの気持ちに寄り添うことで子どもは、自分のことを受け入れてもらえると感じ、すんなり気持ちが切り替えられることがあります。また、次の行動に見通しが持てるように「これをしたらおしまいにしてお部屋に入ろうか」「おいしい給食食べるからお片付けしようか」など先の見通しが持てると気持ちを切り替えられることがあります。また、選択肢をいくつか用意し、自分で決めることで納得することもあります。どうしても切り替えが難しい場合には他の保育士と連携を取り、子どもの気持ちが切り替わるのを待ちましょう。
子どもが思ったように動かないからといって、子どもの腕をひっぱったり、大きな声で言って従わせるといったことがないようにしましょう。クラス全体を動かすことも大切ですが子どもが主体的に行動できる力が育つように関わっていきたいですね。その為には自分一人でなんとかしようと焦るのではなく、他の保育士に頼ることも一つの対応ですから、日頃からクラスを越え、職員全体で子どもを見守るといった意識が大切になります。
まとめ
2歳児は指先や運動面での発達、理解力が進み、一気にお兄さんやお姉さんになったように感じます。自分でしようとする気持ちが出てくる頃ですが、うまくできずに癇癪を起こしたり甘えてやってもらいたがる姿もまだまだあります。少しずつ基本的な生活習慣が身につくように丁寧に一人一人の育ちに合わせて援助できるようにしましょう。
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